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「貧しい者は幸いです。」ルカ6:20 [説教]

「イエスは目を上げて弟子たちを見つめながら、話しだされた。「貧しい者は幸いです。神の国はあなたがたのものだから。いま飢えている者は幸いです。やがてあなたがたは満ち足りるから。いま泣く者は幸いです。やがてあなたがたは笑うから。」ルカ6:20~21

 「贅沢は敵だ」という標語が、日中戦争以降、日本の軍国化推進のため掲げられました。国民を戦争に動員させるため、国家と天皇のために尽くす事が求められた時代でした。これに協力しない者は「非国民」とされ、秘密警察により逮捕されたり、拷問を受けたりしました。現代の北朝鮮と変わらないような状態が、数十年前の日本にありました。

 「贅沢は敵だ」、というのは、ある意味もっともな話ではあります。人間は、豊かになると、贅沢をして自分の心を満たそうとする傾向があります。しかし、贅沢によっては、本当に心が潤うことにはなりません。かといって、国家主義や、天皇崇拝も、戦争も、人間を幸せにする事にはならず、かえって人をおかしくしてしまいました。

 戦後の日本は、経済的には急成長を遂げました。信教の自由の保障、科学の進歩や福祉の発展、芸術の開花等は、高度な文明社会の象徴であります。日本人特有の勤勉さも相まって、あらゆる面で大きな発展を遂げた、ということができるでしょう。大手を振って「贅沢は味方だ」とし、自由を謳歌し、人間中心主義を満喫した時代でありました。

 しかし、そのような唯物論的な資本主義社会も、本当に人を幸せにしたか、というと、そうではないように思います。今回の東日本大震災の、死者、行方不明者の合計、以上の、三万人以上の人が、ここ10年以上、毎年自殺で亡くなっています。その主な原因は、健康問題37%、経済・生活問題35%で、全体の70%を占めています。(2003年警察庁調べ)ある日本の牧師は、海外で、「日本は豊かなのに、なんでそんなに自殺する人がいるのか?」と質問されたそうです。経済的に豊かな国、長寿の国で、興味深いデータであると言えるでしょう。

 お金や物は、人間に必要な物です。国や天皇も存在自体が悪い訳ではありません。人間ですから、崇拝はしませんが、日本の象徴として、意味のある存在です。しかし、国家主義や天皇崇拝、お金や物が人を幸せにする訳ではありませんでした。

 世界的な経済恐慌、壊滅的な少子化問題に加え、東日本大震災を経た日本は、これからどこへ向かっていくのでしょうか。何もかもお金で解決できるかのように考えられて来た時代は、明らかに終わりを告げています。

 聖書の言葉に耳を傾けましょう。約2000年前、イエス・キリストは言われました。「貧しい者は幸いです。神の国はあなたがたのものだから。」

 ここからわかることは、幸せは、お金で解決できる問題ではない、また、この地上で私たちが属する国の成功が私たちのゴールではない、ということです。

 貧しさは、神様により頼むしかない、という状態に私たちを追いこみます。自分で自分の物事さえ解決できない状態は、神様に救っていただくしかない、という事を教えられます。人間は、どんな健康な人でも、最終的には誰もが死にます。その後を自分で進められる人は一人もいません。全ての人間はその意味での「貧しさ」を抱えています。

 この地上に揺るがない国や卓越したリーダーを求めても、それは決して永遠に続く事はありません。リーダーが間違った指導するなら、全体がおかしな方向へ進んでいってしまいます。

 私達に必要なのは、本当に正しいリーダー、永遠に続く国、永遠の救いであります。その全てをイエス・キリストは与えて下さいました。この神様に導かれるとき、人間は真の幸せ、あり方に導かれます。

 キリスト教は決して禁欲的な宗教ではありません。もちろん唯物的でもありません。国家主義でも反体制的でもありません。それらのことはある意味どうでもよいのです。それら全ても、神様が備え、私たちをそこで育み、そこで仕えるようにしてくださった器です。神の愛は、全ての人間の、全ての状態に注がれます。神の愛は、私達の心を喜びで満たして下さるので、あらゆる険しい状況にあってもなお、私達を幸いへと導くのです。これは説明するよりも体験させられるものですが・・・

 大切なのは、それぞれの場所で、この神様の愛を受けて、神様に仕える事です。神を愛し、隣人を愛する。真理を尊び、与えられたものを大切に感謝をもって、私利私欲ではなく、神様の栄光のために用いていく。そこに人間の本当の喜びがあるのだ、永遠に続く、なくなることのない喜びがあるのだ、これが聖書のメッセージであります。

 全ての日本人に、真に満ち足りる日、心から笑う日が来ますように。
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